(修正版)30歳代前半の労働時間と子育てについて
2月17日の記事で用いたデータの処理を間違えていたせいで、表1の値が不正確なものになっていたので、再度分析した結果を書きなおしました。
件の記事で指摘した通勤時間の変化について、いろいろ仮説を立てて統計を見ていたのですが、どうしても現象を論理的に説明できる結果が得られないので、再度元になった社会生活基本調査のデータを見直している時に見つけました。この統計は、平成18年のデータは分単位なのですが、平成8年と平成13年は「時間.分」というフォーマットになっていたのですが、これをそのまま小数として処理してしまったために間違いがおきました。
幸い、通勤時間の数値を除いては、データにそれほど大きな差は生まれなかったので、前回の分析の論旨が大きく崩れることはなさそうです。
さた、この分析を行うきっかけは、30歳代前半の子育て環境を生活時間の観点から分析しようという着想でした。そこで、「総務省 社会生活基本調査」を用いて、生活時間の統計を確認しました。
表1 生活時間の時系列比較 (1日あたり時間、週平均)
30-34 | 40-44 | ||||||||
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男性 | 女性 | 男性 | 女性 | ||||||
総数 | 有配偶 | 総数 | 有配偶 | 総数 | 有配偶 | 総数 | 有配偶 | ||
仕事 | H18 | 7.17 | 7.65 | 3.27 | 2.12 | 7.58 | 7.83 | 3.68 | 3.32 |
H13 | 7.23 | 7.58 | 2.86 | 1.96 | 7.27 | 7.49 | 3.47 | 3.21 | |
H8 | 7.35 | 7.51 | 2.69 | 1.95 | 7.39 | 7.52 | 3.68 | 3.44 | |
学業 | H18 | 0.04 | 0.02 | 0.01 | 0.02 | 0.01 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
H13 | 0.04 | 0.00 | 0.02 | 0.02 | 0.00 | 0.00 | 0.02 | 0.02 | |
H8 | 0.01 | 0.01 | 0.03 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | |
通勤通学 | H18 | 0.82 | 0.83 | 0.43 | 0.25 | 0.88 | 0.90 | 0.41 | 0.35 |
H13 | 0.86 | 0.88 | 0.37 | 0.23 | 0.83 | 0.84 | 0.36 | 0.32 | |
H8 | 0.88 | 0.86 | 0.34 | 0.23 | 0.87 | 0.88 | 0.34 | 0.31 |
※ 総務省 社会生活基本調査 平成8年、平成13年、平成18年 より
統計データの関係から、10年前との比較しかできないですが、30-34歳の女性のみ仕事時間がはっきりと増加しています。これはさらにデータを詳しく見ると、仕事時間の少ない有配偶者の率が減ったことと有配偶者自身の仕事時間が増加したことの両方の効果があります。それ以外の分類では、仕事時間はほぼ横ばいです。
この結果は、1月24日の記事で見た就業率のデータともほぼ一致します。
「最近の人は、ワーク・ライフ・バランスに気をつけて、家庭を大切にする人が増えている」ということが一般的な理解ではないかと思うのですが、統計の上からは、ワーク・ライフ・バランスが改善していると言うことはなく、30歳代前半の女性に限って言えば、ワークにバランスが傾く傾向が強まっていると言えそうです。昨今のワーク・ライフ・バランスを重視する社会的な風潮を鑑みるに、生活時間の配分の上で、理想と現実のギャップはより大きくなっているのではないかと推測することができ、特に子育ての主役になる若い女性において、より大きな問題になっていると考えられます。
世帯人数の減少もこの傾向に拍車をかけている可能性がありますが、その分析は今後の課題としたいと思います。