スウェーデンモデルと日本の未来
オリンピックに集中してブログをほったらかしていたら、仕事が忙しくなってブログどころではなくなっていました。久しぶりなので今日は軽めで。
かなり古い記事ですが、"The Swedish model: Admire the best, forget the rest - The Economist"というのを読みました。高福祉国家として名高いスウェーデンの実情について、The Economist一流の分析をしているのですが、読んでいるうちに日本の未来と重なるような気がしてきました。
スウェーデンはいわゆる「北欧モデル」の代表選手で、高い税率と高福祉を特徴としながら、維持可能な福祉システムと高い経済競争力を持ち、国民の幸福度が高い、と一般的に考えられていて、英米型の対極でありながら成功した経済モデルとして参照されることの多い国です。件の記事は、2006年9月の総選挙の直前に書かれたもので、そのスウェーデンの経済について、そんなに甘い世界ではないという現実を分析しています。
有料の記事なので全部翻訳してしまうとまずいので、ポイントだけかいつまんでおきます。登録無料期間限定のお試し版でも閲覧できるので、興味があれば直接呼んでみることをお勧めします。
- 2006年第2四半期は、年率2.6%成長
- Social Democrats党が過去74年の中で65年間政権に就いている
- 社会的な不満を背景に、Moderate党を中心とした4党連合が徐々に力をつけている
- しかし、Social Democrats党は依然として力を持っている
- スウェーデンの経済の黄金期は、1870年〜1950年ごろで、ここ50年間は経済は長期的な停滞に入っている
- 1970年にはOECDで4番目に豊かな国だったが、1998年には16位に後退した
- 現在も依然として経済的な強みを持っている
- よく管理された、輸出主体の、ハイテク企業
- 教育の質の高い労働力
- 女性の労働参加の高さ
- 英語が広く使われている
- コンピューターリテラシのある人が多い
- グローバリゼーションが経済に有利に働く
- 公式の失業率は6%だが、さまざまな施策で人為的に低く抑えられている。以下の人は失業率に含まれない
- 政府の雇用創出計画に参加している人
- 早期退職した人
- 働く意向のある学生
- 不自然に数の多い長期疾病休暇中の労働者
- 広く見られる常習的欠勤
- 真の失業率は15〜17%程度と推定される
- 1950年以降、民間部門での雇用創出はゼロ
- 企業規模の上位50社のうち、1970年以降に創業した企業はたった1社
- 自営業者の比率は、OECDの中で最低
- 公式の最低賃金はないが、労働組合の力で事実上の最低賃金がある
- 労働契約は、一時的雇用やパートタイムを嫌う労働組合によってほぼ決められる
- 公的セクターの雇用は、全雇用の30%を占める(ドイツの2倍)
- 公的セクターの生産性は、OECDの中で最低というヨーロッパ中央銀行の調査がある
- Social Democrats党は、競争政策、公的サービスの民営化、規制緩和に消極的
- 歴史的には、経済が自由で税が低かったときにスウェーデンの経済は繁栄していた
- 「北欧モデル」というのはどこか1国の経済のことではなく、さまざまな国のいいところをつなぎ合わせたものにすぎない
読んでいる内、一体どこの国のことをいっているのだろう(笑)と思ったのですが、日本も失われた20年どころか、失われた50年という道を進んでいくと、こういう未来が待っているのかもしれません。